ありふれた日常が愛おしくなる映画『PATERSON パターソン』の感想
フジワラヨシトです。
本日紹介するのはこちら!
★★★★★
文句なしの星5つでした!!
妻にキスし、バスを走らせ、愛犬と散歩する、
いつもと変わらない日々。
それは美しさと愛しさに溢れた、かけがえのない物語。
まんまとこのキャッチコピーにつられて観てきました。
「ドキュメンタリー」や「日常」が大好物な私にとって、観ずにはいられない作品でした。
同じような毎日
中身はキャッチコピーどおり、主人公パターソンの「単調」な1週間の物語です。ベットで妻にキスして(たまに裸)、シリアルを食べて、乗客の話し声に耳を傾けながらバスを運転して、犬の散歩ついでにバーに寄る。毎日がこの繰り返しです。本当に大した出来事は起こりません。
でも、そんな同じような毎日でさえ、少しずつ違うのです。昨日とは違う今日がたくさん映像の中に散りばめられています。同時に韻を踏むように同じような出来事も起こります。
創作の日々
パターソンは毎日詩を書いています。その筆跡は画面に映し出され、パターソンが脳内で音読する声が聞こえます。ところどこ詰まりながら、何度も考えながら創作していきます。(ゆっくりと美しい英語をいい声で音読しているため、英語勉強中の人はリスニングの練習にもなるかもしれませんね。)
彼の人生が一見単調だけど豊かに見える理由の一つが、この詩的な感覚を通して日常を観ているからだと思います。日常を消費するのではなく創作しているのです。
その創作をするために必要なのが余裕です。
気持ちや時間に余裕がないと、なかなか創作はできないのではないでしょうか。
今日という日を慈しむ
私はついつい山を見つけると頂上まで最短ルートで走り切ろうと思ってしまいます。
走るためにはつまづかないようにしっかりと足元を見ます。
そして、息を切らしながら全速力で登った山は違う山だった、こんな経験ばかりしてきました。
だからこそこの映画を観て、高い山になればなるほどゆっくり景色を楽しみながら登っていきたいと思えました。
しっかり空を、頂上を見上げながら歩いた方が、着実に目的地に近づけるはずです。人生は誰とも競争をしていないのですから。
毎日の単調な自分の生活に愛が芽生えただけで、観てよかったと心から感じ、ありふれた今日この1日を心から慈しんで過ごそうと思えた映画でした。
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