「経済は地理から学べ!」千差万別の自分の強みを生かして成長する。

経済は地理から学べ!

経済は地理から学べ!」宮路秀作

 

地理という背景知識を持つことで世界がおもしろくなる

 本書は、「1枚の地図で読むロシアとヨーロッパの経済的つながり」など44のテーマについて地理という切り口から解説してあります。1テーマ6ページ程度なので、隙間時間にも読みやすいです。内容も、さすが代々木ゼミナールの講師ということなのか、平易な言葉を使い丁寧に解説してあります。また、東大の受験問題やグラフや地図があり、視覚的にも分かりやすかったです。

 

強みを生かして先進国に

 本書を読んで感じたことは、成長した国はどの国も強みを生かしているということです。例えば、シンガポールの「土台」は資源も土地もありません。山が無いから水資源に乏しく輸入に頼っているし、面積は東京23区程度しかありません。なかなか成長するには絶望的ですよね。ただし、ちょうど台風の影響を受けにくい場所にあるという利点もあります。これらの与えられた土台から、シンガポールはどのように成長したのでしょうか。

 

 シンガポールの戦略

1政情の安定

 中国系・マレー系・タミル人(インド系)という民族を抱えながら、どこかを優遇することはしません。主要民族の全ての言語を公用語として、さらに共通語として英語を導入します。このため、民族間でのトラブルが起こりにくい状況となっています。

2輸出型の貿易

 シンガポールの周りには、インドネシア・ブルネイ・マレーシアという産油国があります。この利点を生かして、原油を輸入して石油製品に加工して輸出することで外貨を稼ぎます。

3外国企業の誘致 

 税制上の優遇措置があったことから、外国企業の誘致に成功します。お金持ちの投資家もシンガポールに移住しているようです。

 

 シンガポールは成長が難しそうな状況であっても、自国の強みを生かすことで成長しました。他国も同様で、千差万別の強みを生かしてそれぞれが個性的に成長していきます。

 

まとめ

 自分自身が成長する為にも、本書で取り上げられた国と同じように、強みを生かしていく必要があります。他人と比較するよりも、よーく自分の「土台」を冷静に観察し、使えるものはなにかを見極めることが大切です。と、いうようなことを考えながら読みました。経済を地理から学ぶだけではなくて、自己啓発的な読み方もできる本でした。