【NETFLIXおすすめ】有村架純の切ない演技が際立つ『ナラタージュ』ネタバレ 感想

「ナラタージュ」作品概要

ナラタージュ

ナラタージュ

 

2017年公開

2時間16分

キャスト:有村架純、松本潤、坂口健太郎

おすすめ度:★★★☆☆ 

タイトル「ナラタージュ」の意味

社会人となった工藤泉(有村架純)が止まない雨を見つめ、追憶の中の忘れられない人を思い返すところから、物語が始まる。 

映画タイトルである「ナラタージュ」とは、”映画などで、ある人物の語りや回想によって過去を再現する手法のこと”である。

引用元:コトバンク

あらすじ 

内向的な泉(有村架純)に生きる希望を与えてくれた高校教師の葉山(松本潤)

泉が向ける葉山への特別な思いに気づいていながらも、恋人として隣にいようとする小野(坂口健太郎)

相手を思う気持ちがいつしか相手を傷つけてしまう、切ないラブストーリーである。

 

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 以下、ネタバレ含むあらすじです。

出会い

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高校時代、孤立していた泉に、教師の葉山が「演劇部に入らないか」と声をかける。心を閉ざしていた泉は、次第に葉山へ心を開き、昼休みに映画の話を二人でするようになった。

高校卒業が迫った泉は、葉山へ募らせた恋心を抑えることができず告白することを決心する。

「先生は恋人がいますか」

その問いに対し、葉山は自らの暗い過去を話した。葉山は既婚者だった。

しかし妻は、自分のせいで心を病み自宅に火をつけた。

妻は今も心を病んでおり、実家に身を寄せている。

葉山は泉の気持ちを知っていながら、今の自分に、人を好きになる資格はないと言った。

そして、それを聞いた泉は思いを綴った手紙を渡せなかった。

叶わない恋と決別するため、卒業式の日に葉山にお別れを伝えた泉に対し、葉山は気持ちを抑えきれずキスをした。

困惑する泉を残し、葉山は去った。

再会

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月日は流れ、大学生になった泉に葉山から着信があった。

学園祭に向けて演劇部員が足りないので、手伝って欲しいとのことだ。

葉山によって手伝いに集められた人の中に、小野がいた。

すれ違い

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泉は葉山の思いを確かめようとするが、感情をぶつけるほど葉山は背中を向け、泉が諦めようとすると葉山は泉に近づく。

関係は平行線をたどっていたある日、葉山が泉に助けを求めた。

「酔ってしまった。車で帰れないから来て欲しい。」

いつもと違う様子の葉山を家へ送る車中、葉山が義父と会ったことを話し始めた。

病んでいた妻が回復してきたので、またやり直して欲しい、戻ってくる気はないかとお願いされたのだった。

「僕だけが前に進んでなかった。妻に会いに行きたい。」

妻とは終わった、と聞かされた泉は、離婚していなかったのかと問いただす。

「君に何度も話そうとした、ごめん。」

葉山はただ、謝るばかりである。

恋人

疲れ切った泉は、自分に思いを寄せてくれる小野と付き合うようになったが、泉は葉山への思いを断ち切れずいた。そして、そのことで小野は不安になり泉を束縛するようになった。

突然の悲劇

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学園祭は無事成功した。

それから数日後、演劇部員である高校生の柚子が橋から転落死した。

葉山から連絡を受けた小野と泉は病院へ向かった。

自殺だった。

学園祭の前に柚子は見知らぬ男に襲われた。

そのことを誰にも言えず、絶望と葛藤の中、自殺したのだった。 

抑えられない気持ち

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柚子を救えなかったとショックを受ける葉山のそばにいたい、と泉は葉山といることを選んだ。

小野は、泉を引き留めようと必死だった。

自分の思いが伝わらない悔しさと怒りから泉を罵倒し、土下座しろと言ったが、泉は葉山の元へ行けるなら、と従う。

泉の思いが絶対に自分に向かないと痛いほど理解した小野は別れることを受け入れた。

小野と別れた泉は、葉山の元へ向かった。

真実

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しばらくして柚子の自殺から立ち直った葉山は、妻への本当の思いを泉に語った。

妻の心を守れなかった悲しみの中、泉と出会ったこと。

あの時の自分にとって、泉は必要な存在だった。

だけど、「君への思いは恋ではなかった」

そして、葉山は妻とやり直すと言った。

別れ

最後にと、泉は葉山との時間、葉山の全てを自分に刻むため、葉山と泉は体を重ねた。

雨が上がった眩しい朝、帰る電車から見える、葉山が遠くなっていく。

有村架純、坂口健太郎の演技がすごい

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葉山に対する一途な思いを、鬱陶とした表情と淡々とした口調で表現している。

また、泉に対して煮え切らない態度の葉山への憎しみに近い愛情の繊細な気持ちの揺れ動きが画面を通して伝わってくる。

泉に対する小野のそばにいたいという気持ちが強くなり、徐々に支配へと代わり、感情をむき出しにして泉の心を繋ぎとめようと怒りヒステリックになる場面は、演技をしているように見えないほどだ。

この二人の演技力と全体を通して、曇りと降り続く雨が多い閉塞的な印象を持たせる演出が「ナラタージュ」という映画が高評価された理由である。

生きる希望と依存

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泉の「先生、私には(生きる意味、希望は)あなたでした」というセリフ

葉山の「君への思いは恋ではなかった。けれど、あの時の僕にとって君は必要だった」というセリフから、お互いが依存状態にあったことがわかる。

そして、お互いが依存しているだけで、それは愛ではなかったように感じる。

泉が、葉山を求めたのは、これから先、自身だけで生きていく勇気がなかったということと、葉山にとって自分が生きる希望となっていたことを知っていたからだ。

弱い二人はお互いの自尊心を保つため、お互いを利用していた。

小野が泉に対して、「ただ隣にいたい」という純粋な気持ちが愛だったと思う。

感想

泉と葉山の関係にモヤモヤする違和感と、感情移入できない恋愛観の原因は、そもそも二人は恋愛をしているのではなく、お互いに依存しているだけであったからだ。

それでも、お互いに依存しお互いを必要とする関係性から高ぶる感情は、愛に近い感情として錯覚させる。そして、見る人によれば、この関係も愛だと解釈するだろう。

 

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