【読書感想】寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」一点豪華主義のススメ

今回は、寺山修司の「書を捨てよ、町へ出よう」について紹介します。

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

 

 題名だけはどこかで聞いたことがあり知っていましが、実際に寺山修司さんの本を読むのは初めてでした。

本書はエッセイ集のような形式になっています。

自殺学入門や家出の勧め、ギャンブル、性など、一般的にはグレーとされそうなジャンルの話が多いです。

父親と性行為を行ってから勉強に励む予備校生のにんじんの話とかね。

平成になって改めて出版された本書は、編集によって一部の表現が改められたようです。

原書はどれほど過激だったのか気になるところです。

平凡であることへの恐れ

本書を読み、これまでなんとなくもやもやと心の中にあった平凡への恐れが強くなりました。

だって

人生いねむり運転をして、何となく「眠い」毎日をすごしているのである。

とか

昔なら「何が怖いですか?」というアンケートに「お化け」と答えるのが相場と決まっていた。いまなら「原爆」である。しかし、本当に怖いのは、実は原爆でもお化けでもなくて「何も起こらない」ということなのではないだろうか。

なんてことが書いてあるんですからね。

人生のいねむり運転なんて言い得て妙で、人生気づいたら死んでいるなんてことになりかねません。

そして、怖いものといった「何も起こらない」こと。これは本当に怖いです。

いわゆる大企業体質の会社に務めて2年目になりますが、だいたい自分生涯賃金が分かってしまいます。そして、上司を見ては、何年後の自分はこういう立場でこんな仕事かということまで見通せてしまうんです。

未来が分かる人生なんて!

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一点豪華主義

平均化した金の使い方によって得られるバランス的マンネリズムと、可能性の地平線を突き破るのは、この一点豪華主義しかないだろう。

平凡が怖いのなら、バランスというものを排除していけばいいんです。

その考え方が一点豪華主義。

例えば、ボロボロのアパートに住み、食事はひもじく、服は安いのばかり買うけど、車だけは綺麗なブルーのインプレッサを改造しながら乗るようなことです。

これというものにエネルギーを注ぐ。これが一点豪華主義です。

本書は昭和50年頃に書かれた本ですが、現代にも活かせるどころか、むしろ一点豪華主義が貫きやすくなっています。

住居はシェアハウスに、食事は吉野家、服はユニクロのように、衣食住にかかるコストはかなり抑えることができます。

あとは、なけなしの給料の大半を「好きなこと」につぎ込めば、もう立派な一点豪華主義です。

基本的なコストを安く抑えられることはモバイルボヘミアン にも書いてあり、下の記事で実際に計算してみました。

「モバイルボヘミアン」になるためにミニマムライフコストを計算してみた - ヨリミチ書店

実はこれだけのミニマムライフコストで暮らせるということに気がつけば、かなり強気で一点豪華主義 を実践できるはずです。

守りを固めたいのなら

お金は銀行に預けるな に書いてあることを実践して、収入の2割を投資信託に入れましょう。(投資信託といってもいろいろあるので、情報収集をお忘れなく!)

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で、残りの8割のうち割合は人によってまちまちですが、1点以外は幸福に暮らせる最低ラインの支出とします。

そして、残りを1点へ。こうしておけば、投資信託に守りの資産を気づきつつ、好きなことへの出費を恐れること無くできるようになります。

おわりに

やること、情報、やりたいことなどなんでも量が多すぎるのが現代です。でも、時間もお金もエネルギーも限られています。これらをどこに注ぐのか。そんなことを考えるきっかけとするためにも、本書を読んでみてはいかがでしょうか。

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