ありふれた日常の繰り返しが愛おしくなる映画「パターソン」の感想
★★★★★(宝物)
パターソン(http://amzn.to/2G7wEdC)
監督:ジム・ジャームッシュ
主演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ
もう最高!!文句なしの星5つでした!!
妻にキスし、バスを走らせ、愛犬と散歩する、いつもと変わらない日々。
それは美しさと愛しさに溢れた、かけがえのない物語。
まんまとこのキャッチコピーにつられて観てきました。
これが大当たり。「ドキュメンタリー」や「日常」が大好物な僕にとって、観るべくして観たといえる作品でした。
同じような毎日
中身はキャッチコピーどおり、主人公パターソンの「単調」な1週間の物語です。ベットで(たまに裸の)妻にキスして、シリアルを食べて、乗客の話し声に耳を傾けながらバスを運転して、犬の散歩ついでにバーに寄る。
毎日がこの繰り返しです。本当に大した出来事は起こりません。
でも、そんな同じような毎日でさえ、少しずつ違うのです。昨日とは違う今日がたくさん映像の中に散りばめられています。その小さな違いを見つけながら観るのも楽しいです。そして、韻を踏むように同じような出来事も起こります。
創作の日々
パターソンは毎日詩を書いています。その筆跡は画面に映し出され、パターソンが脳内で音読する声が聞こえます。ところどこ詰まりながら、何度も考えながら創作していきます。(ゆっくりと美しい英語をいい声で音読しているため、英語勉強中の人はリスニングの練習にもなるかもしれません。)
彼の人生が一見単調だけど豊かに見える理由の一つが、この詩的な感覚を通して日常を観ているからです。日常を消費するのではなく、創作しているのです。
その創作をするために必要なのが余裕です。気持ちや時間に余裕がないと、なかなか創作はできないのではないでしょうか。
今日という日を慈しむ
私はついつい山を見つけると頂上まで最短ルートで走り切ろうとしてしまいます。走るためには、つまづかないようにしっかりと足元を見ます。そして、息を切らしながら全速力で登った山は違う山だった、こんな経験ばかりしてきました。
だからこそこの映画を観て、高い山になればなるほどゆっくり景色を楽しみながら登っていきたいと思えました。
しっかり空を、頂上を見上げながら歩いた方が、着実に目的地に近づけるはずです。人生は誰とも競争をしていないのですから。
まとめ
毎日の単調な自分の生活に愛が芽生えただけで、観てよかったと心から感じ、ありふれた今日この1日を心から慈しんで過ごそうと思えた映画でした。
劇場公開は終わってしまいましたが、DVDが発売されたので、これを機にぜひ観てください!あ、AmazonPrimeVideo(http://amzn.to/2tyluMz)でも観れます!!!
ふじわらよしと( @FujiwaraYoshit0 )でした。