【Netflix】ブラックミラー「国家」感想(ネタバレあり)本音と建前の壮大な社会実験
Netflixでブラックミラーシーズン1-1「国家」を観ました。
本音と建前を過激にえぐり出すストーリーでした。
さて前回に引き続きネタバレありで感想を書きますので、まだご覧になってない方はぜひ観てから戻ってきてください。
誘拐犯の要求
さて、話はイギリスでスザンナ妃が誘拐されたところから始まります。
犯人はキャロウ首相へ、ある要求をするためのビデオを送りつけます。
その要求とは、午後4時までに豚と首相が性行為をするところを生放送しろというものでした。
そして要求を否認する場合は、スザンナ妃を殺すと。
この要求は、首相にとってとても辛いです。
考えただけで嫌になるような行為で、プライドもズタズタになります。
でも、どう考えても命と比べたら軽いんです。
お金のように、直接犯人の利益になってないあたりがいやらしいですよ。
要求を飲まずに対応する
理不尽な要求をされたら、まずは与えられた選択肢以外から考えるのは鉄則です。
いいですか、特に誰かから2択を迫られたときは、他の選択肢を模索した方がいいです。
「国家」の首相陣営は2の解決案を試みます。
影武者を用意する
AV男優にCGで首相の顔を合成して放送しようとしました。
犯人からは、撮影方法などが細かく指定されていて難しそうでしたが、腕の良いクリエイターに依頼し可能性を模索していました。
しかし、撮影現場にいたスタッフが男優を見つけたときにTweetしてしまい、拡散され犯人に影武者を用意しようとしていることがバレてしまいました。
武力行使する
居場所を突き止めて武力行使しようとします。
犯人を捕まえてスザンナ妃を救出すれば、そもそも要求を飲む必要がありませんからね。
しかし、動画がアップされた場所を突き止めて突入するものの、部屋の中にあったのは裸体の女性のマネキンとパソコンだけでした。
首相と豚と芸術家
結果的に要求を飲みます。
首相にとって非常に屈辱的な映像を、全国民に向けて放映することに。
しかし、実はスザンナ妃はこの行為の30分前に鎮静剤を打たれて開放されていたのです。
つまり首相は屈辱的な行為をしたにも関わらず、スザンナ妃の救出したわけではありませんでした。
世論の変化
「国家」の中では効果的にテレビ・Youtube・スマホなど、媒体による映像が使われています。
そのひとつに、ニュース番組などでよくある世論調査の映像も用いられていました。
世論調査では、首相が豚とセックスをする映像が生放送されたとしても観ないと回答する人が多数でした。
「国家」の主題は世論についてでしょう。
誘拐犯は芸術家で、だれもスザンナ妃の開放に気づかなかったことから、結局みんな生放送を観るということを証明しました。
いくら口では首相に同情し観ないと言ってようが、いざ放送されると街から人がいなくなり、誰もが画面に夢中になりました。
建前では事件に対して深刻な感情を吐露しますが、本音では普段は見れないような映像を見れることにわくわくしているわけです。
「国家」の終わりには、1年後が首相は変わっていない姿が映し出されます。
それも、世論調査によると支持率が3ポイント上がったそうです。
おわりに
口では建前を言っていても、Youtubeのコメント欄にはあふれ出す本音。
テレビより先にニュースが伝わるSNS。
体を武器にする女と性欲に負ける首相陣営の男。
などなど、皮肉ったっぷりに現代を映し出していて、45分というちょうどいい長さも相まって最後まで楽しめました。
ブラックミラーは観終わったあとに、ついつい誰かと話したくなってしまいます。
まだ観てない人は、「国家」を入り口にぜひブラックミラーシリーズにハマってみてはいかがでしょうか。
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