【Netflixおすすめ】ドス黒い自分をえぐり出される映画「ディストラクション・ベイビーズ」

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Netflixで「ディストラクション・ベイビーズ」を観た。芦原泰良(柳楽優弥)が、北原裕也(菅田将暉)と一緒に暴力を振るいまくる映画で、ほとんど喧嘩のシーンと言っても過言ではない。

最も強烈だったシーンは、やりすぎた泰良に対して裕也が「捕まったら終わりだぞ」と言って、泰良が「楽しければいい」と返事をしたところ。見直して引用したわけではないのでセリフは少し間違えているかもしれないけど、そんなようなことを言っていた。つまり、泰良は純粋に暴力を楽しんでいた

倫理的に(刑法上も)暴力はいけないことだと分かっているのに、泰良が相手をボコボコにするのを観て、気づけば僕もある種の快感を感じていた。裕也が「ずっとやってみたかった」と言って暴力を振るう胸くそ悪いシーンがあるが、その手前までは僕も他人を破壊することへの根源的欲求があるのかと怖くなってしまうほどだった。

教育の賜物なのか、現実には誰かと殴りたいと思うことはあっても思いとどまることはできているけど、どこかの回線が断線してしまったら僕も泰良のようになってしまうかもしれない。そんなドス黒い自分をえぐり出されるような映画だった

裕也的な黒さも自分の中にある。彼は臆病で喧嘩は弱いが、調子がいいところがあり泰良の暴力を楽しんでいる。いじめっ子の周りで煽っているような立ち位置だ。冷静に考えると嫌な奴なんだけど、結局画面のこちら側で泰良の暴力を楽しんでいる僕も大差ないかもしれない。

弱い自分だからこそ、強い人と組んだときによりいやらしい破壊衝動が出てくる。強いやつと喧嘩したいというストイックさすら感じさせる泰良と比べると、裕也の行動は最悪だけど、あえて自分のドス黒さをこの映画の中に登場させるなら裕也の立ち位置になりそう。それは女性を殴りたいという意味ではなくて、強いやつの後ろで自分も強い気で肩で風を切って歩いてしまいそうということ。

日常の中で黒い自分に出会ってしまったことがある。夜の山道を車で走っているときに、急に小さなウサギのような動物が脇から出てきて轢いてしまった。その動物が小さかったため、轢いたというよりも車の下にカコンとあたったような感じだった。

おそらく死んだであろうその動物のことを思うと、残りの運転時間は気分の良いものではなかった。ただ、その不快な気分は動物を轢いたことだけが原因ではない。

急に動物が出てきたと言ったけど、それでも僕はアクセルから足を離さなかった。反応できなかったと言い訳できる状況ではあったけど、そこに黒い自分がいたような気がしてならない。その状況に甘んじて動物を殺した自分がいるんじゃないかと、いま思い返してもゾッとする。

似たような経験が「ディストラクション・ベイビーズ」でもできた。性善説なんかではなく破壊欲求を持って生まれた人間たちが押し殺していた欲求を、映画という作り物のなかで開放させてくれる作品だった。

楽しい気持ちにはならない映画だけど、普段お行儀の良いあなたにおすすめです!!

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